お知らせ

2019 / 06 / 23  01:40

鍜治屋。

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 「… … … 今の御仁は 確か… … …」 

 「独国から参られたメッサー殿でござる 」

  「おおっ 此れは柳刃殿 久しゅうござる 」

 「此方(こちら)此其 出刃殿 お久しゅうござりまする 」

 「あの御仁 やはりメッサー殿で御座ったか…」

 「はい。」

 「なれど 独国の御方ならば最後の言葉は グッドラック

では無うて… … … 」

 「ビス バルト でごさりましょうな 」

 「でござろう… … …

 其れのみならず あの御仁己をナイフと呼べっ とも喚い

て居りましたが…」

 「はっはっは 其の事でござりまするか 

 出刃殿は良い耳をお持ちでござる 某(それがし)察します

るに …

 興味の無い方々には耳に当たりもせぬ事でござりましょう

が 我らの様な者に取りましては メッサーと申しますれば

其の後に続く語は…」

 「シュミット。

 … … … 其れが 嫌だと… … …」

 「と 思われまする 」

 「何故(なにゆえ)か 」

 「スタイリッシュ 詰まり 粋では無い… のでは…」

 メッサー シュミットが 」

 「はい 恐らく 」

 「なれど柳刃殿  」

 「はい …おっしゃりたい事は判って居りまする

  メッサーとは 包丁を含む刃物を意味し

  シュミットとは 我らと同じ鍜治屋を意味する

語でござる 其れを嫌うとは いやはや何とも……」

 「其れは違いまするぞ 柳刃殿

 我が正本家は野鍜治の出 其方の有次家は刀鍜治

の出でござろう 我らと同位にしては成りませぬぞ」

 「はっはっはっ 現在(いま)の有次家は刀を打って

は居りませぬ 出刃殿らしゅう御言葉でござりまする

な 其の御言葉 お褒めの御言葉と思うて有り難く頂

戴致しまする 」

 「処で柳刃殿 」

 「出刃殿 我らの御付き合いも長うござる そろそろ

十四郎(とうしろう)と 御呼び下され 」

 「左様か 成らば其方も某(それがし)の事は亀之助 と

呼んで下され 」

 「はっはっはっ 相承知 此れからも末長う御付き合い

よろしく御願い申し上げまする … … … で… 」

 「うむ…独国から来られたは あの御仁御一人か…」

 「 … あと 二人 居りまする…」

 「 …都合三人… 

  其の者ら 何をしに参られた 」

 「判りませぬ … 探りますか 」

 「うむ … 決して気取られぬ様 くれぐれも

内密に 御願い申し上げる 」

 「 御任せ下さりませ 」

 言うなり 十四郎は踵を返しメッサーの後を追った 。