お知らせ

2023 / 07 / 22  01:00

お暑うございます … 其の六

お暑うございます … 其の六

朝顔売り

朝顔売りは五月中旬から七月一杯迄の商いで 売り子は卸問屋から朝顔の鉢植え

を仕入れ 其れを売り歩くのでございます 毎日夜明けと共に出掛け 荷を売り

切って家に帰るのは昼頃に成り其れから一休みし 四時頃には翌日売り歩く鉢植

えを買い出しに問屋へと出掛けて行くのでございます

明治三十八年(1905)頃 入谷(いりや)に家号(屋号)を入種(いりたね) 植惣(うえそ

う)という二軒の朝顔の問屋がございました 園内には大小の土鉢に栽培した朝顔

が数千鉢 仕入れに来る売り子を未だか未だかと待って居たのでございます

朝顔の卸相場は大鉢が十鉢で三十銭内外 小鉢十鉢で六~七銭位のもので (此の

当時盛り蕎麦一杯の値段は二銭五厘) 朝顔売りが担う一荷の鉢数は大鉢で三十四

~五 小鉢で六~七十位のもの故 いくら肩の強い売り子であっても仕入れには一

円もあれば十分でございます 売り値は客次第にて色街などでは三銭の卸値のも

のを十銭と高値で売る強者も 居った其うにございます

 

四ツ前の格子へ負る蕣(あさがお)屋

                             ( 俳諧攜 )

♠ 蕣はムクゲと読む場合もございます

♠ 俳諧攜の攜は手偏では無く 角偏なのでございます 

           音 : ケイ

           訓 : くじり・つのぎり

       くじりとは : 男子が腰に佩びる角器(象牙等)で 先が尖り紐の

              結び目を解くものなのでございます