お知らせ
「 其処ヘ御成り … 」
❨ 御成りって どうすりゃあ良いんだよう ❩
「 我こそは 此の地を領する河結太郎(かわゆいだろう)の娘
河結五十女(かわゆいいそめ)と申す者也
故有って カタカナ言葉の名の娘らを探して居るのじゃ
他に仲間が居る様ならば包み隠さす申すのじゃぞ 」
「 … じゃぞって 一体お幾つで … 」
「 … 」
「 ごっ 御免なさい 今のは無し と言う事で 」
「 … 」
「 … 五十女(いそめ) まっ 真逆 五十 才 … 」
「 ほほっ 」
「 へっ へへえっ 」
「 さてと … 」
「 掃除も終えたし 仕込みも準備万端 後は暖簾を … ひぇっ … 」
❨ … 何時の間に … ❩
「 あのう 何方様で … 」
「 此のお店はお客様に対して いらっしゃいませも言えないの 」
「 あっ 申し訳ございません いらっしゃいませ 」
「 扉が開いてるのを良い事に 勝手に入った私も悪かったわ
ごめんなさいね 」
❨ おでれえた 音も無く入って来やがった
此の女も 只もんじゃあねえのかよう ❩
「 いっ いえ 気が付かずに居た私が悪いのです どうぞお赦しを 」
「 ほほっ 顔に似合わず優しい御方ね 」
❨ 顔に似合わずは余計だろ ❩
「 其れで … あの娘らは何処なの 」
「 あの娘らとは … 」
「 金髪にカタカナ言葉の名の娘らよ 」
「 あっ はいはいはい アリス様らの事で 」
「 ほら御覧なさい やはり知っでいるじゃないの 」
❨ そりゃー あれだけインパクトが強ければ 忘れ様が無えわな ❩
「 で あの娘らは何処なの 」
❨ え あんたは馬鹿なの ❩
「 もっ 申し訳ございません お住まい迄は存じて居りませんが 」
「 何処迄も白を切るつもりね 」
❨ 切った積もりはござんせんが ❩
「 … 解ったは じゃあ 私が来た事だけでも伝えて頂戴な 」
「 はっはい では お客様のお名前をお聞かせください 」
「 名前 … ほほっ 聞きたいの 」
❨ 聞かなきゃあ伝えられ無えだろ ❩
「 仕様が無いわねえ そんなに聞きたければ 折角だから教えて
あ げ る 」
❨ 何で仕様がねぇんだ おかしいだろ ❩
「 一度しか言わないから良くお聞き
私の名前は かわゆい と申します 」
「 かわ様 で 」
「 違うわ 氵の河に結ぶと書いて河結が名字なの 」
「 はっ 左様で … では河結様 下のお名前は 」
「 聞きたいっ 」
「 あっ ご迷惑でしたら結構ですが 」
「 もうっ そんなに聞きたいの 仕様が無いわねえ 」
❨ 嫌なら無理する事あ無えのに … んっ 何だ何だ何だ … あんた
何を仕様ってんだよう ❩